最近「化学が苦手」「金属イオンの性質は全く知りません」という高校生に、金属イオンの系統分離を教えています。
「系統分離は金属元素の単元の集大成なのだから、順番が逆だろ?」というご指摘もあると思います。
ノーマルな教え方ではもちろん、
一つ一つの金属イオンの性質・特徴を学ぶ
→2,3種類の金属イオンが混ざっている場合の分離を学ぶ
→「金属イオンの系統分離」を学ぶ
という順序になると思います。
教科書ももちろんこの順番です。
この教え方は、「化学は面白い」「化学大好き」という生徒には良いかも知れません。
例えば「Ag+はHCl水溶液を加えると白色沈殿を生じるんだよ」という説明で、
「へー面白い!どうしてそうなるんだろう?」「他の薬品を加えたら、他の金属イオンならどうなるのかな?」「Pb2+なら沈殿が生じるのか。でもFe3+では生じないんだね」「・・・ってことは、あっ、もしかして・・・?」
などと興味を持って考えることができる生徒、すなわち「化学が好き」「勉強が好き」という生徒にはこれで良いかも知れません。
当然のことながら、「化学が好き」「勉強が好き」という生徒ばかりではありません。興味がないけど受験の必要に迫られて勉強している生徒は、同じ説明を聞いて「そうですか。だから何ですか?」「それは何か良いことありますか?」的な反応になります。
それに対して「沈殿が生じるんだよ。すごいでしょ〜」と繰り返しても無駄です(笑)何も響きません。
そこで自分は高校化学の金属イオンの単元の最終形とも言える「金属イオンの系統分離」を最初に教えてしまうことにしています。
「たくさんのイオンが混ざっているなら、分離したいよね?」「分離してそれぞれの金属を確認したり利用する必要があるかも知れないよね?」
という話をすると、興味がない生徒でも「・・・まあ、そうですよね。でもどうすれば良いんですか?」のようなかんじで、少しばかり興味を持ってもらえることが多いです。
(教える方にいくらかの知識と技術が必要ですが)それぞれの金属イオンの性質を教える前でも、分離の各段階の手順と目的を詳しく説明して、書き取ったり問題をやってもらったりしていけば、系統分離の主要な部分を理解し覚えてもらうことはさほど難しいことではありません。
系統分離には何種類もの金属イオンに分離が含まれているので、いったん理解してもらえれば、登場したその数種類以上の金属イオンの性質がわかることになります。
金属イオンの系統分離を学ぶ
→2,3種類の金属イオンの分離がわかる
→それぞれの金属イオンの性質がわかる
というイメージで、ノーマルな教え方の場合のちょうど逆です。
ちょっとアブノーマルかも知れませんが、この学び方の方が倍くらい速くこの単元をマスターすることができると思います。
独学で勉強している人も、金属の性質をやるならまずは系統分離からやるといいかも?
2019年11月09日
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こんなヤツです
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