2020年08月04日

高校物理「力のモーメント」棒を立てかけたとき

高校物理「力のモーメント」棒を立てかけたとき

◆問題

図のように、水平な床に対して垂直な壁に一様な太さの棒を立てかける。床と棒の間の摩擦係数はμ、壁はなめらかである。棒の長さをl,棒と床のなす角をθ,棒の重さをWとするとき、棒が倒れないθの条件を求めよ。

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◆解説

力のモーメントに関する標準的な問題です。

今回の問題では、棒にいくつかの力がはたらきます。

「棒が倒れない」ことから、

・力のつり合い
・モーメントのつり合い

の式を立てる。という方向で考えていきます。
それぞれのつり合いの式を立てるには、まずは全ての力を図示することが必要です。

重力Wは棒の真ん中から鉛直下向き
棒は壁に支えられているので、棒と壁の接触点から壁に対して垂直に(床に対して並行に)・・・これをN1とします。
床が棒を支える力つまり垂直抗力は棒と床の接触点から鉛直上向き・・・これをN2とします。
床と棒の間には摩擦があり、摩擦力がなければ棒は滑っていってしまうはずだから、摩擦力はそれを妨げる方向つまり、棒と床の接触点から壁の方へ水平に・・・これをFとします。

それぞれ→を描きます。

力はつり合っているということは、鉛直方向と水平方向それぞれつり合っているので、

N1=F
N2=W

これらの式を立てることができます。

さらに、摩擦力F=μNだから、N1=F=μN2です。


さらに、力のモーメントもつり合っていることから式を作ります。
いくつもの力がはたらき、つり合っているときは、力が複数はたらいている点を回転の中心とみなすと、やりやすくなります。
この場合は、棒と床の接触点を回転の中心と考えのがよいです。ここだけ2つの力がはたらいているからです。

ここからそれぞれのモーメントを表していきます。

重力は棒の中心にはたらき、「うでの長さ」は接触点と棒の中心の距離のうち、重力に対して垂直な方向の成分なので、「うでの長さ=(l/2)cosθ」です。つまり、M2=W・(l/2)cosθとなります。さらに、N2=Wなので、M2=N2・(l/2)cosθです。

壁が棒を押す力も同様に考えると、「うでの長さ」は棒の長さのうち、N1に対して垂直な方向の成分なので、「うでの長さ=lsinθ」です。つまり、M1=N1・lsinθとなります。さらに、N1=μN2なので、M1=μN2・lsinθです。

これらがつり合っているのでイコールで結ぶと、M2=M1より

N2・(l/2)cosθ=μN2・lsinθ
  (1/2)cosθ=μsinθ

これで一応関係式はできましたが、サインとコサインはタンジェントで表すことができ、その方が簡単なのでさらに変形すると、

1/2=μ(sinθ/cosθ)
1/2=μtanθ

よって、tanθ=1/2μ

このときがギリギリの値で、今回の図では、これよりも少しでもθを大きくすると棒が倒れるので、「棒が倒れないための条件」としては「tanθ≧1/2μ」が解答となります。


■関連問題
バネにつるされた棒に2つのおもりがつるされたとき


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posted by えま at 09:03| Comment(0) | 高校物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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