高校物理「力学」あらい斜面上の物体の最高点
◆問題
傾角θのあらい斜面の下端から、物体を斜面に沿って初速v0で滑り上がらせた。物体と斜面との間の摩擦係数をμ',重力加速度の大きさをgとして次の問いに答えよ。
(1) 斜面下端から物体が達する最高点までの斜面上の距離lを求めよ。
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◆解説
摩擦のある斜面の場合、力学的エネルギーは保存しないので、
@力学的エネルギーだけでなく仕事まで加えると一定であることから式を立てる
A等加速度運動の公式から式を立てる
これらのどちらかの考え方をします。
等加速度運動よりも、エネルギー+仕事の方が式が簡単になることが多いので、エネルギーを習った後は@の方法で解くのがノーマルだと思います。ここでもエネルギー+仕事でやっていきます。
質量は書かれていないのでmとして、斜面の下端にあるときは、初速度v0だから、最初の運動エネルギーK0は、
K0=(1/2)m(v0)^2
下端を高さの基準面とすれば、最初の位置エネルギーはU0=0
ですね。つまり、最初の力学的エネルギーはK0+U0=(1/2)m(v0)^2です。
続いて、最高点(highest point)について考えます。
最高点では速度は0になっているはずなので、Kh=0
最高点に達したとき斜面上をl進んでいて、傾角はθなので、そのときの高さはlsinθです。
よって、最高点での位置エネルギーはUh=mg・lsinθ
最高点に達するまでに物体は摩擦力によって仕事をされています。
摩擦力はF=μNで、斜面の傾角はθなので、重力の斜面に対して垂直な成分が垂直抗力Nだから、N=mgcosθとなります。
よって、摩擦力はF=μ'・mgcosθです。
仕事W=Flなので、W=μ'・mglcosθで、この仕事の分だけ力学的エネルギーが減少しているから、仕事を加えればエネルギーが保存すると考えられます。
K0+U0=Kh+Uh+W
(1/2)m(v0)^2+0=0+mglsinθ+μ'mglcosθ
あとは計算です。
まずは両辺を2倍して、mで割ると、
(v0)^2=2glsinθ+μ'2glcosθ
両辺を入れ替えて2glでくくると、
2gl(sinθ+μ'cosθ)=(v0)^2
さらに、両辺を2g(sinθ+μ'cosθ)で割って、
l=(v0)^2/2g(sinθ+μ'cosθ)
次の問題→物体が下端まで戻ってきたときの速さ
◆関連問題・項目
斜面の最下点から斜面を滑り上がる物体が最高点に達する条件
力、エネルギーまとめ
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2020年12月14日
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