2020年12月14日

高校物理「力学」下端まで戻ってきたときの速さ

高校物理「力学」下端まで戻ってきたときの速さ

◆問題

傾角θのあらい斜面の下端から、物体を斜面に沿って初速v0で滑り上がらせた。物体と斜面との間の摩擦係数をμ',重力加速度の大きさをgとして次の問いに答えよ。

(1) 斜面下端から物体が達する最高点までの斜面上の距離lを求めよ。

(2) 物体が最高点に達したあと、下端まで滑り落ちてきたときの物体の速さをv0を用いて表せ。


この記事では(2)を解説します。


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◆解説

(1)で、物体が最高点に達するまでに摩擦力がした仕事は、W=μ'・mglcosθであることがわかりました。
行きも帰りも、重力は変化しないので垂直抗力は同じだから摩擦力は変化せず、距離も変化しません。
ということは、往復で摩擦力がした仕事の合計は、2W=2μ'・mglcosθとなります。

この仕事を加えればエネルギー保存が成り立つということができるので、滑り落ちてきたときの速さをvとすると、

(1/2)m(v0)^2=(1/2)m(v)^2+2μ'mglcosθ

という式が成り立ちます。
式ができたなら計算してみましょう!

まずは両辺を2倍し、mで割って、

(v0)^2=v^2+4μ'glcosθ

4μ'glcosθを移項して、両辺を入れ替えると、

v^2=(v0)^2−4μ'glcosθ

(1)より、l=(v0)^2/2g(sinθ+μ'cosθ)も代入すると、

v^2=(v0)^2−4μ'gcosθ・(v0)^2/2g(sinθ+μ'cosθ)

ちょっと複雑な式ですが、あとは計算です!

  =(v0)^2{1−2μ'cosθ/(sinθ+μ'cosθ)
  =(v0)^2{(sinθ+μ'cosθ)/(sinθ+μ'cosθ)−2μ'cosθ/(sinθ+μ'cosθ)}
  =(v0)^2{(sinθ−μ'cosθ)/(sinθ+μ'cosθ)}

両辺の平方根をとって、

v=v0・√{(sinθ−μ'cosθ)/(sinθ+μ'cosθ)}


前の問題→最高点までの距離l


◆関連問題・項目
斜面の最下点から斜面を滑り上がる物体が最高点に達する条件
力、エネルギーまとめ


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posted by えま at 11:00| Comment(0) | 高校物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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