2021年06月03日

高校物理「万有引力」高さhまで上昇したときの初速度

高校物理「万有引力」高さhまで上昇したときの初速度

◆問題

地球の表面から、初速度v0で鉛直上方に物体Aを打ち上げる。地球の半径をR,地表での重力加速度の大きさをgとして、次の問いに答えよ。

(1) 物体Aが、地表から高さhの点まで上昇した後、地面に向かって落ち始めた。打ち上げの初速度v0を求めよ。


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◆解説

人間が手でボールを投げた場合でも、地球から宇宙空間に物体を打ち出した場合でも、摩擦力等を無視すれば「力学的エネルギーの保存」が成り立ちます。

運動エネルギーと位置エネルギーをそれぞれK1,K2,U1,U2とすれば、

K1+U1=K2+U2

ですね。

この場合は、打ち上げた瞬間の運動エネルギーと位置エネルギーがK1,U1で、地表からの高さhでのそれらがK2,U2と考えて式を立てられそうです。

物体Aの初速度はv0,質量は書いてないので普通にmとして、K1=(1/2)m(v0)^2です。
このときの位置は地球の表面上なので地球の中心からの高さは半径と同じくRです。地球の質量は書かれていないので普通にMとして、U1=−G・Mm/Rです。

高さhの点でのエネルギーをK2,U2とすると、
「高さhの点まで上昇した」ので、高さhの点での物体Aの速度はゼロです。つまり、K2=0です。
この点は、地球の中心からの距離は(R+h)です。つまり、U2=−G・Mm/(R+h)です。

以上を力学的エネルギー保存の式に代入すると、

(1/2)m(v0)^2−G・Mm/R=0−G・Mm/(R+h)

あとはv0について解けばOKですね!

まずは両辺に2/mを掛けると、

(v0)^2−2GM/R=−2GM/(R+h)

移項して計算していきます。

(v0)^2=2GM/R−2GM/(R+h)
   =2GM{1/R−1/(R+h)}
   =2GM[(R+h−R)/R(R+h)}
   =2GM(h/R(R+h)}
よって、v0=√{2GMh/R(R+h)}

この問題では、問題文にはGとMも書かれていないので、これらも消去することを考えます。

物体Aのはたらく重力はW=mgですが、万有引力定数Gを用いると、W=G・Mm/R^2とも表せます。これらはどちらも物体Aにはたらく重力を表しているので、イコールで結んで変形すると、

mg=GMm/R^2
 g=GM/R^2
GM=gR^2

これをv0=√{2GMh/R(R+h)}に代入すれば、

v0=√{2gR^2/R(R+h)}
  =√{2gR/(R+h)}


次の問題→物体Aが無限遠まで飛び去る条件


◆関連問題
人工衛星の力学的エネルギー


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posted by えま at 07:00| Comment(0) | 高校物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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