2021年06月28日

高校物理「万有引力による位置エネルギー」計算での導き方

高校物理「万有引力による位置エネルギー」計算での導き方

万有引力による位置エネルギーの基本的なイメージ等についてはこちちらをご覧ください。

この記事では、万有引力による位置エネルギーの公式を、積分を使って計算で求めることを解説します。

無限遠を基準としたときの、質量m[kg]の物体の万有引力による位置エネルギーU[J]は、Gは万有引力定数、Mは地球の質量、rは地球の中心からの距離として、

U=−G・Mm/r

で表されます。

これは、万有引力の式

F=G・m1m2/r^2

のm1,m2をM,mに置き換えて、

F=G・Mm/r^2

の積分で求めることができます。


地球の中心から無限遠までの距離をxとすると、

U=∫[r〜x](−F)dr

と表すことができます。どうしてこの式で表されるかは、いろいろな説明が可能ですが、例えば・・・

エネルギーは仕事と同じなので、rの位置からxの位置まで物体を移動させるために必要な仕事の分だけ、物体の位置エネルギーは増加することになります。「仕事=力×移動距離」だから、縦軸・横軸に力・距離をとったグラフの面積が仕事であり、エネルギーです。グラフの面積は数学2などでも習うように、積分で求めることができます。

というわけで、まず、「定積分でエネルギーを求めることができる」点がわかるかと思います。

そして符号のマイナスについて。

重力は地球の中心に向かう方向なので、上をプラスとすれば重力の符号はマイナスです。だから、この場合のFはマイナスで表される。というわけです。

あと念のため、最後のdrについて。
普通はdxですが、万有引力の式はG,M,mは定数で、rについての関数だから、rについて積分するのでdrです。


あとは積分の計算ですね。

F=G・Mm/r^2だから、

U=∫[r〜x](−G・Mm/r^2)dr
 =−G・Mm・∫[r〜x](1/r^2)dr

難しく見えると思いますが、数学2の積分の範囲で充分計算できます。
1/r=r−2ですね。
積分は、「指数を1上げて、新しい指数の数で係数を割る」ので、これに当てはめると、もとの指数は−2だから新しい指数は−1です。係数を−1で割れば、

 =−G・Mm・[−1/r][r〜x]

このようになります。
あとは、xを代入したやつからrを代入したやつを引くので、

 =−G・Mm・{−1/x−(−1/r)}

さらに、「xは無限遠」だから、xの値は限りなく大きいので、1/x≒0です。つまり−1/xの項は消えてしまってOKです。
というわけで、

U=−G・Mm/r

が得られました。

一回読んだだけではピンと来ない部分もあるかも知れません。
わかるまで何度か繰り返し読んでもらうと良いと思います。


勉強とか抜きにして、興味がある人には面白い本です。自分も読みました。



◆ 関連項目
万有引力万有引力による位置エネルギー
円運動・単振動・万有引力まとめ


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posted by えま at 21:00| Comment(0) | 高校物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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