高校物理「万有引力による位置エネルギー」計算での導き方
万有引力による位置エネルギーの基本的なイメージ等についてはこちちらをご覧ください。
この記事では、万有引力による位置エネルギーの公式を、積分を使って計算で求めることを解説します。
無限遠を基準としたときの、質量m[kg]の物体の万有引力による位置エネルギーU[J]は、Gは万有引力定数、Mは地球の質量、rは地球の中心からの距離として、
U=−G・Mm/r
で表されます。
これは、万有引力の式
F=G・m1m2/r^2
のm1,m2をM,mに置き換えて、
F=G・Mm/r^2
の積分で求めることができます。
地球の中心から無限遠までの距離をxとすると、
U=∫[r〜x](−F)dr
と表すことができます。どうしてこの式で表されるかは、いろいろな説明が可能ですが、例えば・・・
エネルギーは仕事と同じなので、rの位置からxの位置まで物体を移動させるために必要な仕事の分だけ、物体の位置エネルギーは増加することになります。「仕事=力×移動距離」だから、縦軸・横軸に力・距離をとったグラフの面積が仕事であり、エネルギーです。グラフの面積は数学2などでも習うように、積分で求めることができます。
というわけで、まず、「定積分でエネルギーを求めることができる」点がわかるかと思います。
そして符号のマイナスについて。
重力は地球の中心に向かう方向なので、上をプラスとすれば重力の符号はマイナスです。だから、この場合のFはマイナスで表される。というわけです。
あと念のため、最後のdrについて。
普通はdxですが、万有引力の式はG,M,mは定数で、rについての関数だから、rについて積分するのでdrです。
あとは積分の計算ですね。
F=G・Mm/r^2だから、
U=∫[r〜x](−G・Mm/r^2)dr
=−G・Mm・∫[r〜x](1/r^2)dr
難しく見えると思いますが、数学2の積分の範囲で充分計算できます。
1/r2=r−2ですね。
積分は、「指数を1上げて、新しい指数の数で係数を割る」ので、これに当てはめると、もとの指数は−2だから新しい指数は−1です。係数を−1で割れば、
=−G・Mm・[−1/r][r〜x]
このようになります。
あとは、xを代入したやつからrを代入したやつを引くので、
=−G・Mm・{−1/x−(−1/r)}
さらに、「xは無限遠」だから、xの値は限りなく大きいので、1/x≒0です。つまり−1/xの項は消えてしまってOKです。
というわけで、
U=−G・Mm/r
が得られました。
一回読んだだけではピンと来ない部分もあるかも知れません。
わかるまで何度か繰り返し読んでもらうと良いと思います。
勉強とか抜きにして、興味がある人には面白い本です。自分も読みました。
◆ 関連項目
万有引力、万有引力による位置エネルギー
円運動・単振動・万有引力まとめ
江間淳の書籍はこちら
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
20年以上の実績。全学年、英・数・理をはじめ全教科対応
最高級の指導を提供します!メール添削も好評です!
プロ家庭教師の江間です。 AE個別学習室(えまじゅく)
http://www.a-ema.com/k/ http://www.a-ema.com/j/
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2021年06月28日
この記事へのコメント
コメントを書く
こんなヤツです
年齢:41
職業:プロ家庭教師、AE個別学習室(えまじゅく)代表、翻訳者
ウェブサイトURL:http://www.a-ema.com/
メールアドレス:j@a-ema.com
一言:アプリ、メルマガ、電子書籍提供中です。アマゾンやGooglePlayで「江間淳」で検索!
江間淳の書籍一覧 → http://amzn.to/2m9LTvN