2022年03月13日

高校化学「有機物」エステルの分子式を求める

高校化学「有機物」エステルの分子式を求める

■問題

互いに異性体の関係であり、炭素、水素、酸素からなるエステルA〜D関して次のことがわかっている。
・33.0mgのAを完全燃焼させると、二酸化炭素66.0mgと水27.0mgを生じた。
・4.40gのAをベンゼン100gに溶かした溶液の凝固点は、ベンゼンよりも2.56℃低かった。
・A,Bを加水分解すると、それぞれ銀鏡反応を示す化合物Eが得られた。
・Aを加水分解して得られるアルコールを酸化すると、ケトンが得られた。
・C加水分解するとカルボン酸FとアルコールGが生じ、Gを酸化するとFが生じた。

(1) Aの分子式を求めよ。ただし、ベンゼンのモル凝固点降下は5.12K・kg/molである。


共通テスト・センター過去問




■解答

「33.0mgのAを完全燃焼させると、二酸化炭素66.0mgと水27.0mgを生じた」という記述から、まずはAに含まれる炭素と水素の質量がわかります。

66.0mg=66.0×10^(-3)gであり、CO2=44だからCO2の物質量は、66.0×10^(-3)/44=1.5×10^(-3)molです。
C=12だから、1.5×10^(-3)×12=18×10^(-3)gの炭素が含まれていることがわかります。

水素も同様にして、H2O=18だから、27.0×10^(-3)/18=1.5×10^(-3)molより、1.5×10^(-3)×2=3.0×10^(-3)gですね。

酸素は、33.0mgからこれらの値を引いて、(33.0−18−3)×10^(-3)=12×10^(-3)g

エステルAに含まれる炭素、水素、酸素の質量がわかったので、これらの個数の比も出すことができます。

C:H:O=18/12:3/1:12/16
     =1.5:3:0.75
     =6:12:3
     =2:4:1

これにより、組成式はC2H4Oであることがわかりました。
これだけではまだ分子式はわかりません。ここで凝固点降下を使います。
水溶液に解けている物質の物質量が多ければ凝固点降下も大きくなる。という性質がありましたね。

ベンゼンのモル凝固点降下は5.12K・kg/molであり、この場合は2.56℃の凝固点降下がおこったそうです。
モル凝固点降下は、1キロの溶媒に1モルの溶質が解けているときの凝固点の降下量を表す値です。
100gのベンゼンに4.40gのAを溶かしたので、

2.56=5.12×(4.40/M)/(100/1000)
   1=2×(4.4/M)/(1/10)
   1=2×44/M
   M=88

つまりこのエステルの分子量は88です。

C2H4O=12×2+4+16=44だから、Aはこの2倍なので、求める分子式は「C4H8O2」です。


次の問題→エステルA〜Dの示性式


◆関連項目
アルコールアルデヒドケトンカルボン酸エステル銀鏡反応異性体モル凝固点降下
脂肪族炭化水素

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posted by えま at 21:00| Comment(0) | 高校化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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