2022年06月08日

高校物理「電子と光」J.J.トムソンの実験C

高校物理「電子と光」J.J.トムソンの実験C

◆問題

横軸をx軸、縦軸をy軸とする真空中で、x軸をはさむように、長さlの極板P,Qをx軸に平行に置き、極板PQ間にはy軸に平行に一様な電場Eがかかっている。極板の中央x=0の位置からx軸の正の向きにL離れた位置には、x軸と垂直に蛍光板が置かれている。
x軸に沿って質量m,電荷−eの電子を速さv0で極板間に侵入させるとき、次の問に答えよ。ただし、重力は無視できるものとする。

(1) 極板PQ間において、電子に生じる加速度を求めよ。

(2) 極板PQ間から飛び出した直後の、電子の座標と成分を求めよ。

(3) 極板PQ間から飛び出した直後の電子の速度の向きとx軸とのなす角をθとするとき、tanθの値を求めよ。

(4) 電子が蛍光板に到達する点の座標を求めよ。


この記事では(4)を解説します。


↓教科書の内容の習得から共通テストに対応する実力をつけるためには↓

良問の風物理頻出・標準入試問題集 (河合塾シリーズ)

電子の比電荷を求めたJ.J.トムソンの実験です。この実験の結果は公式として覚えてしまって良いものですが、順を追って必要な数量を求めることができるようにしていきましょう!


原点から蛍光板までの距離はLなので、まずx座標はLです。

その蛍光板に到達するまでに、電子は電場から力を受けて曲がるので、その位置を計算する。というイメージです。

極板PQ間を飛び出した直後の座標は(2)で求めたように、(l/2,eEl2/2mv02)です。

極板PQの端の座標はl/2だから、極板PQの端から蛍光板までの距離は(L−l/2)です。

そして、(3)で求めたように、極板PQ間を飛び出した後は、x軸に対してtanθ=eEl/mv02の向きに飛びます。

x軸方向にL−l/2だけ進む間にy軸方向にどれだけ進むかといえば、

(L−l/2)×eEl/mv02

ですね。

だから、求めるy座標は、

 eEl2/2mv02+(L−l/2)×eEl/mv02
=eEl2/2mv02+eElL/mv02−eEl2/2mv02
=eELl/mv02

よって、求める座標は(L,eELl/mv02)


次の問題→極板PQ間に磁場をかけたとき


◆関連項目
ミリカンの実験比電荷
原子まとめ電気・磁気まとめ


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posted by えま at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 高校物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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