2025年01月22日

高校化学「無機物質の性質」2025年共通テスト第3問より。NaIからI2を得る反応について

高校化学「無機物質の性質」2025年共通テスト第3問より。NaIからI2を得る反応について


◆問題

日本とチリは世界有数のヨウ素の生産国である。ヨウ素I2の生成・製造について、次の問い(a〜c)に答えよ。

a 昆布を燃やした灰にはヨウ化ナトリウムNaIが含まれている。この灰をビーカーに入れて水を加え、数分間煮沸した後に濾過すると、NaIを含むろ液が得られる。このろ液からI2を得ることができる。
 NaI水溶液に希硫酸H2SO4と過酸化水素H22の水溶液を加えると、次の式(6)のようにI2が生成する。

  2NaI+2H2SO4+H22→2NaHSO4+2H2O+I2  (6)

 NaI水溶液からI2を得る反応に関連する記述として誤りを含むものはどれか。

@式(6)において、H22は酸化剤としてはたらく。
A式(6)の反応後の混合物にヘキサンを加えると、I2はヘキサンに抽出される。
B式(6)において、H22の代わりに塩化スズ(U)SnCl2を用いても、I2を生成させることができる。
CNaI水溶液に塩素Cl2を吹き込むと、I2を生成させることができる。


解答解説はこのページ下


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◆解答

@式(6)において、H22は酸化剤としてはたらく。
→○
Iの酸化数が−1→0となっていて、酸化されているので、H22は酸化剤と考えられます。

A式(6)の反応後の混合物にヘキサンを加えると、I2はヘキサンに抽出される。
→○
ヨウ素は水よりも油に溶けやすい性質があるので、有機溶媒であるヘキサンに溶けて抽出されます。

B式(6)において、H22の代わりに塩化スズ(U)SnCl2を用いても、I2を生成させることができる。
→×
過酸化水素も塩化スズも還元剤としてはたらくという点では「同じ性質」だから置き換えても大丈夫かも?と思わせようとして作られた選択肢ではないかと思います。

CNaI水溶液に塩素Cl2を吹き込むと、I2を生成させることができる。
→○
いわゆる「ブローアウト法」ですね。反応式は以下のようになります。
2NaI+Cl2→I2+2NaCl


というわけで、解答はBです!


ヨウ素の基本的な性質についてはこちらをご覧ください。


◆関連項目
非金属元素典型金属元素遷移元素


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